夏が過ぎて
最高気温の記録が塗り替えられるなど、猛烈な猛暑だった今年の夏が終わりました。この夏を、ハリマハウスさんで建てていただいた新しい家で過ごした感想などをリポートします。
「エアコンは、この家では必要なのかどうか」とあれこれ思案しているうちに、夏が過ぎてしまいました。ですから、猛暑といわれた8月の十数日も、冷房の恩恵にあずかることなく過ごしたわけです。
結果、我が家の夏の環境はどうだったかといいますと、「基本的には快適でした。猛暑を除いては。」という感じだと思います。なお、前提ですが、我が家は2階で暮らしているということです。1階は将来、両親が引っ越してくる予定となっており、現在は使っていません。2階から1階へ降りていくと、ひんやりとした感じがします。1階では生活していないので、なんとも言えませんが、もしかしたら、猛暑の時期でも、それなりに過ごせる環境だったかもしれません。
ということで、来夏のエアコンの購入については、とても悩んでいます。今年のような猛暑となれば、エアコンの力を借りたいと思う一方、1年の内、たったの十数日しか運転しないのであれば、これも自然と、暑さが過ぎるのを待つべきなのでしょうか。
太陽が高くなるにつれて上昇する温度計を見ていて気付いたことがあります。「エアコンの設定温度は29℃に」などといわれていますので、これを超えると暑いのかと思っていましたが、そうではありませんでした。猛暑を除くいわゆる夏日の室温は31.5℃になりますが、扇風機を回しながら過ごす室内は、この温度では暑いという感じがしません(動き回れば汗がでます。)。因みにこのとき1階は28.0℃ですから、涼しいです(なお、1階はシャッターを完全に閉め切っており、一切の家電製品がありませんので、生活をすれば多少は温度があがってくるのではないでしょうか。)。
なぜかと思い、インターネットなどでいろいろと調べてみますと、体感温度には、気温のほか、対流(空気の流れ)と輻射熱(物体から出る熱)が関係するらしいことが分りました。以前住んでいた家での経験では、夏は天井や壁から「もわっ」とした熱が湧き出てきて、エアコンをいれてもそう簡単に効いてくる感じではありませんでした。今の家では、こうした「もわっ」と感がありません。これが、夏でも快適な理由なのかなと思うようになりました。屋根と壁に入れられた断熱材と遮熱高断熱ガラスの効果なのでしょう。また外壁の木製サイディングも断熱効果に貢献しているかもしれません。因みに、床暖房用に基礎に敷き詰められたコンクリートのため、1階の床はひんやりしていて気持ちがいいです。
このような中、家の弱点はどこかというと、窓かなと思っています。窓は先にも触れたとおり遮熱高断熱ガラスになっています。このガラスは、太陽の光を直接浴びた時と、このガラスをとおして浴びた時の温度差は、はっきりと感じ取ることができるほどの遮熱効果があります。しかし、それでも、太陽光が部屋に入ればどうしても暑くなってしまいます。
陽のあたる窓のシャッターを全部閉めてしまえば、光は遮断できますが、それでは暗い家になってしまい気分が晴れません。そこで、我が家では、上手に太陽光を排除しながら快適にくらすため、いろいろと対策を講じました。
第1は、南側の大きく開いた窓の面を、植物で覆うことにしました。発想のもとは、木陰の涼しさです。木陰が涼しいのは、直射日光が遮られるほか、植物から発せられる水分が蒸発する際に熱が奪われること、さらには、先ほどの輻射熱が植物にはないことが理由としてあげられるようです。また、植物は室内からの景観の向上にもつながります。オーニングで簡単に遮光する方法もありましたが、このような理由で、植物で覆うことになりました。
ベランダに窓の大きさと同程度の棚を作り、足もとから頭の上まで、鉢やハンギングを、できるだけ隙間ないように配置しました。これで、完全とは言えませんが、相当の遮光効果を得ることができました。また、朝夕には、水を巻くことで周辺の気温が下がって気持ちがいいです。
第2は、東側の窓のオーニングです。東の窓は、日の出から昼前ごろまで、目一杯日が入ってくるので、遮光は必須です。初めのころは、シャッターを閉じて遮光をしていましたが、シャッターが熱せられることで、シャッターと窓の間のこもった空気がものすごく暑くなり、この熱が、じわじわと窓を通して室内に入ってくることに気がつきました。そこで、屋外側に布製のオーニングを設置した結果、直射日光を防ぐとともに熱気の発生を抑えることができました。また、シャッターは開けてしまっているので、明るさも確保できることとなりました。
第3は、天窓のカーテンです。我が家は構造上、南の屋根に天窓が付いているため、ここからの陽射しも強烈です。屋根ですので、外側にオーニングというのもむずかしいため、とりあえず内側にカーテンをして直射を防いでいます。朝夕は、カーテンを開け、窓を開放して、換気をします。もっといいアイディアがないか思案を続けています。
第4は、涼しい外気を取り込み、蓄えることです。朝の涼しいうちに、窓を開放し、より涼しい空気を家に入れ込みます。太陽の上昇と気温の上昇に合わせて、窓を閉めていきます。日の当たらない北側、西側は、外の空気もさほどあがりませんので、最後まで開いていますが、窓も小さく、少ないため、基本的には締め切った家となります。
窓は遮熱ガラスですから高い外気温の侵入を防ぐことができるようで、遮光と扇風機を加えて快適な室内を保つことができました。
第5は、直接的な工夫ではありませんが、調理器具がIHクッキングヒーターであることも室温を上昇させない要因の一つだと思います。
ハリマハウスさんの家は冬が暖かなのは想像がつくのですが、なぜ夏が涼しいのかは、住んでみるまではわかりませんでした。外気が30℃を超えるのに、それを冷やすエネルギー(エアコン)なくして涼しくはならないのだろう、でもエアコンの効きはよいのだろうと思っていたのが正直なところです。
しかし、夏が過ぎて思うのは、輻射熱が抑えられた家(家自体が温まらない)の効果がとても大きく、室温が30℃を超えたぐらい(このとき外気は32℃から33℃程度)では、まだまだ快適であるという、この家の性能の高さです。そして、窓などの弱点を克服するなど、いろいろと工夫することで、快適性も増してくるわけで、面白い家だなあと思っています。
因みに、記録的な猛暑のときは、室温は34.5℃。流石に閉口しました。