近畿大学建築学部の岩前篤教授は、平成21年11月~平成22年1月にかけて、2002年から2008年に新築の戸建て住宅に転居した、全国2万人を対象にアンケート調査を実施した結果を発表しています。

調査では断熱グレードを3から5の3つに分類して、グレード3は熱損失係数Q値4.3、グレード4は熱損失係数Q値2.7、グレード5は熱損失係数Q値1.6相当となっています。
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以上の調査結果から岩前篤教授は「断熱性が変わると、換気・気密の程度、建材の種類、日常の暮らし方などにも影響することが考えられ、本結果は断熱の効果だけを表すものではないが、総合的な表現として、高断熱住宅の効果と表現することができよう」と述べています。

そして断熱グレード3から4、ならびに4から5の改善率の差を図5に示しています。
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「健康改善の意味での断熱性は、高ければ高いほど効果は期待できる」と述べています。

省エネ効果での断熱性は、Q値1.6程度までで、それ以上断熱性能を上げても、それほど大きな効果は期待できませんが、健康改善の意味での断熱性は、高ければ高いほど効果が顕著になるようです。

弊社は快適性として断熱性能を追求してきました。

U値1.3の樹脂サッシで、窓から冷輻射がない室内の快適性、「トイレや浴室も寒くない」ではなく「トイレや浴室も全面蓄熱式床暖房で暖かい快適さ」そのことが健康にも繋がるようです。

省エネ性からは「ほどほどの断熱・気密性能でよい」のですが、健康性、快適性からは、熱損失係数Q値1.6以上の高断熱・高気密住宅にすべきだということでしょう。

逆を言うと、現行省エネ基準のQ値2.7程度の住宅を新築すると、これから50年、100年にわたり健康的に不十分な住宅に住み続けるということ。

ではなぜ高断熱・高気密住宅は健康に良い影響を与えるのでしょうか。

調査結果を見ると、手足の冷え、関節炎、アトピー性皮膚炎、咳、気管支喘息等で改善効果がでており、温熱環境と空気質の改善によるものと思われます。

高断熱・高気密性能と24時間換気で、結露が無くなれば、カビの発生を抑え、ハウスダストが少ないクリーンな室内となります。そして適度な暖房で最低室温を高めに設定できれば、このような健康度の高い室内環境となるのでしょう。