3月8日,9日岐阜県恵那市で開催された、NPO法人「新住協」のH23年度広域研修会に参加しました。講師は室蘭工業大学の鎌田紀彦教授です。

Q1.0住宅からQ1.0-X住宅への解説から始まりました。今までのQ1.0住宅をグレード1からグレード4まで4段階に設定。例えば首都圏から西のⅣ地域では、暖房エネルギーを次世代省エネ基準の1/4になるように設定し、グレード2では1/5、グレード3では1/10、グレード4では0(無断房住宅)に設定した断熱仕様になっています。それらをQ1.0-X住宅とよんでいました。

そしてその暖房エネルギーを計算するソフト「QPEX2.71」の要点を解説されました。

弊社では2003年に購入したコーナー札幌の熱損失係数(Q値)計算ソフト「省エネ判断2」を長らく使ってきました。Q値と夏期日射取得係数が計算できるソフトですが「QPEX2.71」では暖房エネルギー消費量、日射取得熱も計算できるようになっています。

研修会後「QPEX2.71」を試してみました。入力も簡単で軽快に動き、どの部位を改良すれば良いのかを瞬時に導き出してくれます。今後弊社では「QPEX2.71」をメインに使用してゆくつもりです。

その後地元の恵那市でQ1.0-X住宅グレード4に向かっている工務店の建築現場、モデルハウス、社長の自宅を見学させていただきました。

社長の自宅では床下エアコンで暖房をしていました。鎌田教授が床下エアコンの施工ポイントを解説されました。

要点は「ファンを多用せず簡潔に気流を隅々まで行き渡らせる」
「センサーで連続運転が止まらないようにエアコンの設置を工夫する」ということでした。

蓄熱式床暖房を施工できない現場では今後使用したい暖房システムです。

今回の研修会で特に参考になったのは、暖房エネルギー消費量を抑えるために、冬期の日射取得熱を積極的に増やしてゆく方策として、東面、西面の窓は樹脂サッシで遮熱LOW-Eガラスのトリプルを使用して、北面は断熱LOW-Eガラストリプル、南面は日射進入率の高い日本板硝子のペアマルチEAを使用していました。

夏の日射遮蔽が比較的しやすい南面に、日射進入率の高いガラスを使用することで、暖房エネルギーを削減する手法は今後取り入れたいと思います。

そして日射熱を取り込み蓄熱まで考慮した設計をしていました。そして鎌田教授が今一番注目しているのは、基礎を逆ベタ基礎にして住宅の蓄熱性を高めることだといいます。日射熱を取り込み蓄熱性を高め、無断房住宅までのイメージを描いていました。

鎌倉で建てられたドイツのパッシブハウス第一号でも逆ベタ基礎を採用しているそうです。

ハリマハウスでは17年前から逆ベタ基礎で蓄熱性を生かしてきました。当時は異端児扱いされましたが、今では最先端の省エネ手法として注目されていることも解りました。

NPO法人「新住協」の取り組みに多くの刺激を受けると共に、新たなチャレンジが必要だということも教えてくれた研修会でした。