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断熱気密はバランスよく

公開日: : 最終更新日:2016/02/13 つれづれ

こんにちは ハリマハウススタッフの井上です。

まだまだ省エネ住宅に携わる人間としてヒヨっ子の身分ではありますが解って来た事もあるので少し書いてみようと思います。
現在の家の断熱性能はどんどん上がっています。
充填断熱、外張断熱、手段は様々。
昔はどうやって凍えない様に生活していたのだろう。
昔は屋根が藁とか茅で太陽光から熱を遮蔽しましたが冬には部屋の暖気は取られ寒かった事でしょう。しかし、雪が降れば雪が外への暖気放出や外からの冷気を遮断し、それなりの断熱性能を持ち得たのではないかと推察いたします。
白川郷の合掌造りは世界遺産になったりしてとても有名ですが、壁が少なくとても屋根が大きいのは雪国ならではの形かと思います。風向きも考えて葺いてあるので同方向に向いた家々が美しく、日本人ならずとも郷愁の心持ちになるかと想像できます。

CA330165

5年前に行ってきました
ここで1つ想像してみます。この合掌造りの建物を現代の断熱材でエコリフォームして見たらどうなるでしょうか?
「とても住み易くなって、より長持ちする家になるのじゃないか」
確かに心地は良くなるかもしれません。
しかし、気をつけないといけません。
まず、グラスウールで断熱性能上げた場合、完全に敷き詰める事が困難な為、隙間から冷気が流入し、室内の暖気と接触した箇所で結露を起こします。そうすると構造材にダメージを与え続けるので良くありません。カビの発生にも繋がり健康を害するかもしれません。

CA330151

透湿断熱材アイシネンと言う手はありかな
でもこのままが良いよね
こんな事は百も承知で考える事自体がナンセンスと思われる方もいるかと思います。
しかし、30年余り前に北海道で起きた「ナミダダケ事件」は有名ですね。
上の例え話に似た失敗を日本人はしておりました。
キラキラとした涙のような腐朽菌が家を腐らした事件です。
泣きたいのは家のオーナーです。そして、断熱材(グラスウール)は暖房費を削減させる夢の素材と信じそれを使って大量に建築したビルダーの方々もです。
暖かい関東でもこの危険性は十分にあります。夏季の逆転結露もあります。
やたらと断熱材を充填してもしっかり気密をとっておかないと温度差のある空気どうしがぶつかるその場で結露を生じさせます。
また、気密をしっかりとったとしても断熱性能が低いとシートに結露してしまいます。
壁の中に水蒸気を貯めない事が必須となりますが断熱材の使い方を誤ると水蒸気を招き入れる様な造りになり大変な事になります。
筆者が過去に壁紙職人(見習い身分)としてリフォームに行った現場で在来工法の耐震補強として外壁の下地に構造用合板をはり、気密ビニール付きのグラスウールを室内側から充填し石膏ボードを貼って仕上げた現場がありました。
一見水蒸気が壁の中に入らない様な納まりだし例え入ったとしても合板が木だからそのうち排出されて乾燥するだろうなどと思ってしまいます。
しかし、これはとても危険な納め方なのです。現在もこの方法で行われている現場は多くあるかと思います。
考えただけでもゾッとします。
なぜか。
それは、その様な施工店が「今は省エネの時代だから断熱性を上げましょう!」と言って充填する断熱材を増やし内部結露防止にと室内側に気密シートを貼ったとします。そして、「地震が怖いから耐震性を上げる為に9mmの構造用合板を張りましょう」と言って耐震エコリフォームを銘打ち施工したとします。
この方法が間違っているとは言えませんが、もし中途半端に気密がとられていたらどうなるでしょうか。壁の中に水蒸気が入ると滞留いたします。なかなか抜けません。思うほど木は水分を排出してくれません。ヒノキのお風呂の水がみるみる減るでしょうか。樽のワインがみるみる減って行くでしょうか。合板も例外ではありません。
断熱材が中途半端な場合も夏の冷房の冷熱により石膏ボードと共に冷やされた気密シートが壁体内の暖気によってビールのジョッキの様に水滴をつけ始めます。
逆転結露です。
省エネ基準が上がる方向にある中、このような恐ろしい造り方で建てられる建物が建つのではとドキドキいたします。
断熱の工法はバランス良く、そして様々な自然現象を考慮し行わないとたくさんの落とし穴があると言えます。
しかし、温熱、湿度の性格を知っておけば恐れる事はありません。ただ、知っていてもそれを理解し正しく施工できる職人さんと現場監督が居る事が最も重要な所です。
また、与太話
「法隆寺の五重の塔は約1300年前の物。こんな素晴らしい技術を持った国だからこの国の木造住宅はさぞかし長持ちをするのだろう。」
「絶対そうでしょう」
「よしっ!法隆寺と同じ造りにして住もう!」
「でも、法隆寺に台所と浴室とトイレってあったっけ」
「そこは最新の物を設置して、断熱気密もしっかりすれば先人の技術とあわせ2000年住宅も夢じゃない!」
「あったま良いねぇ!」
現在日本住宅の平均寿命は25年余
苦笑いするしかありません。
長く持つ家を作るヒントは沢山あると思いますが、なかなか上手く行かない様です。

追伸:ホームページもご覧ください。

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