東京都多摩市で建築中のS様邸は、エアコン一台で全館冷暖房が可能なYUCACOシステムを採用しています。

全館空調というと、換気と空調機を組み合わせ、ダクトで給排気する大掛かりなイメージがありますが、高断熱・高気密住宅は第一種熱交換換気にエアコン一台の組合せで全館空調が可能です。

まず簡便な計算方法ですが必要暖房能力(W)を推定します。

S様邸は延べ床面積99.36㎡+屋根裏収納15.52㎡の広さですが、屋根裏収納の平均天井高は1.1mですので気積換算で7.11㎡プラスして、延べ床面積は99.36㎡+7.11㎡=106.47㎡とします。

必要暖房能力(W)

=Q値(1.502w/㎡k)×106.47㎡×内外温度差(22℃-5℃)

=2.71KW

必要冷房能力(W)

=Q値(1.502w/㎡k)×106.47㎡×内外温度差(35℃-28℃)

=1.11KW

S様邸は定格暖房能力2.8KWのエアコン一台で全館冷暖房が可能です。夏の内外温度差は冬より小さいので余裕がありますが日射遮蔽をしっかりと行うことが前提です。

次に熱を運ぶ経路を設計します。

S様邸は屋根裏に第一種熱交換換気とエアコンを設置し、熱交換換気の給気側はエアコン上方に吹き出すようにしています。ダクトで各部屋に給気はしていません。

そうすることで給気とエアコンの冷暖気が交わります。その冷暖気を吹抜けから階下に流してゆきます。それと同時に排気側はダクトで浴室、トイレ、台所、納戸に接続し吸い上げます。

屋根裏の吹抜けから二階の居室へ流れ、そしてダーティゾーンへ吸い込まれてゆきます。

二階から一階へは吹抜けが無いため、屋根裏から一階天井まで垂直に給気ダクトを2本設け、3W程度のDCモータで冷暖気を送り込む設計です。

2.8KWのエアコン一台で全館空調のS様邸は2015年12月中旬の完成予定です。完成見学会も行いたいと思っています。