10月に完成したA様邸の裏隣はO様でハウスメーカーの営業所長時代に担当営業のI君と何度かお邪魔した。
I君は当時25歳位で、営業意欲に溢れ、私のスキルを盗もうと必死で付いて来た。退社した上司に毎年年賀状を送る義理堅いところもある男だ。
4月上旬A様邸の着工前挨拶にお伺いすると、「山際さん?お久しぶり」O様は覚えていて下さった。
8月中旬現場にO様が駆け込んできた。I君から「お世話になりました。退社します」と大変残念な手紙が来たという。私も驚く。
40歳でリストラだそうだ。年賀状から、結婚したんだな。子供も二人生まれたらしい。今は埼玉で頑張っていると思っていた。あんなに優秀な人材がどうして。
業績が悪い会社の都合でリストラされ本人が一番悔しい思いをしている。早速一緒にやらないかと連絡をしたが、すでに次の会社を決めていた。
元気な住宅会社が救ってくれたようだ。
立川や八王子の総合展示場を散歩していると、懐かしい顔に出会うことがある。「今どこでやっているの」と挨拶して近況を話す。本音は言わないが、意外な情報が行きかうこともある。
鉄骨プレハブから今は木造在来工法を売っているが、明日は2×4工法を売るかもしれない。しかしその経験が営業では大きな力となる。I君はリストラされた会社と競合しても自信を持って営業できるだろう。
自宅を何度も建てる人は少なく、住宅営業は経験豊富で頼もしくさえ思える。どうしても商談では営業主導になるケースが多い。本来の計画がまるっきり違う計画になっていたりする。
営業主導になりにくい方法は「すぐに決めない」ことだ。
特に月末には気を付けよう。いくらよい話が来ても決めてはいけない。翌月にはもっとよい話を持ってくる。
ノルマのきつい営業の哀願にも耐えることだ。そのような営業は契約したが最後、手のひらを返す。
住宅会社のカタログではなく住宅本や専門書を読む。そしてあらゆる角度から納得できる内容になるまで検討する。そして一ヶ月位そのままにして計画が変らなければ本物だ。
「よい家」を建てるために時間と情報力が欲しい。