YUCACOシステム第一号は2015年12月に完成した東京都多摩市のS様邸です。
屋根裏収納にエアコンを1台設置して、第一種熱交換換気の室内給気側(SA)をエアコンに向け吹き出しました。夏期、室温より高くなる給気側をエアコンに向けることで、エアコンの連続運転が可能となります。
主として夏の冷房時に使用する屋根裏エアコンで全館空調ができると思ったのは平成14年の夏からで、体験ハウスの屋根裏エアコン1台で、毎年ほぼ乗り切れたからです。
冬期は蓄熱式床暖房がメイン暖房となります。屋根裏エアコンは補助暖房として利用しています。
その頃は吹抜けを利用して、屋根裏の冷気を階下に流し込む設計をしていました。2階までは冷気が届きますが、さすがに1階までは無理でした。
DCモーターのパイプファンで強制的に送風したのは、2014年12月に完成した住宅です。屋根裏に1台設置して、階下の書斎に冷気を吹き出したのが最初でした。風量が40m3程度のパイプファンを使用しましたが風量不足でお客さまにはご迷惑をおかけしました。今年の夏までにパイプファンを取り換える予定です。
YUCACOシステム研究会の会員となり、研究発表会に参加させて頂いています。
使用するDCモーターの機種、エアコン室にリターンさせる風量の重要性などが分り、改良を重ねながら、お客様にお勧めしています。
このシステムの良いところは、一般に市販されている機器で構成され、それぞれ独立した働きから、エアコンを新しく取りかえたり、DCモーターを取り換えたりするだけでメンテナンスが可能なところです。
ダクト内の汚れにも対応できるよう、ダクトレスで給気する設計として、どうしてもダクトが必要な部位は3m程度の長さにしてダクトの交換が可能な設計をしています。
外壁のメンテナンスを気にする方は多いのですが、換気設備や暖冷房機器を、安価で簡単に交換メンテナンスが行えることも重要だと思っています。
デシカの除湿と再熱除湿をほぼ不要にする提案です。
デシカは室内湿度を低く出来ますが除湿性能が高いからだけではないです。
エアコンと比べ、デシカは風量が少ないにも関わらず、室内を低湿度に出来るのは換気装置だからです。
高湿度の外気を室内に取り込んでからエアコンで除湿するより、除湿した低湿度の空気で室内空気を押し出して換気した方が効率が良いです。
エアコンを換気装置にすれば良いです、換気空気だけを給気して除湿、吐出させればデシカ並みの室内環境が得られます。
少ない換気空気だけを冷却しますから内部発熱で相殺されて室温は下がらない。
実施するにはエアコンの給気部を囲って換気空気を漏らさず給気すれば良いです。
換気空気だけ吸わせるのでなく、冷房のため室内空気も吸わせる事も可能です。
囲いの一部に開口部を設けて室内空気を吸わせれば良いです。
室内空気の流量を減らす調整をすれば梅雨時等に威力を発揮します。
是非試して下さい。
阿武隈高地 様
コメントありがとうございます。
ハリマハウスのYUCACOシステムでは、エアコン上部の空気取り入れ口の近くに、第一種熱交換換気の室内側給気を吐き出しています。その部分を囲ってエアコンに入るようにすれば良いのでしょうか。その場合2点気になります。まず1点は、エアコンを運転しない時はスムーズに給気ができないのではないか。2点目は、エアコン風量は300m3程度あり換気の給気風量は150m3~200m3程度です。給気が不足しますがエアコンの性能に問題はないでしょうか。
冬は深夜電力利用のみの蓄熱式床下エアコンを実施してます、湿度がネックですが夏も蓄冷を主体にしてます。
色々試して、エアコンの給気を太いダクトでエアコンから一番離れた場所から吸わせてます。
除湿試験も色々試してます、エアコンのファンの力だけで外気を吸わせましたがあまり良い結果にはなりませんでした。
現在は太いダクトのエアコンに近い位置の途中にパイプファンで外気を入れてます。
安定して湿度50%以下になってます、外気を床下(室内)に給気しますと60%弱程度しか下がりません。
まだダクトの入り口を調整して床下の空気をエアコンに吸わせる量を調整出来るようにしてません、来年の課題にしてます。
調整して絞れば45%以下も可能と思ってます。
>第一種熱交換換気の室内側給気を吐き出しています。その部分を囲ってエアコンに入るようにすれば良いのでしょうか。
エアコンの給気を囲って100%外気を吸わせれば良いです。
パナのエアコン使用して除湿(冷房除湿の一種らしいです)で運転してます、外気は温度、湿度とも高いですからエアコンは止まり難いようです。
フイルター等の問題は残りますが第一種熱交換換気は圧力損出が大きく消費電力が多いですから得になりません。
あらかじめエアコンに入る空気湿度を下げてもほとんど役に立ちません、エアコン内の温度を下げませんと低い湿度の空気は得られません。
エアコンの効率は高いですからエアコンを換気装置した方が年間を通しますと省エネになります。
>エアコンを運転しない時はスムーズに給気ができないのではないか。
最初は出来ませんでしたが現在は床下(室内)からも吸わせてますから逆流して床下(室内)に給気出来てます。
>エアコン風量は300m3程度あり換気の給気風量は150m3~200m3程度です。給気が不足しますがエアコンの性能に問題はないでしょうか。
給気フイルターが詰まり、ほとんど給気しない事も想定されますから気になりません、センサーが調整してくれると思います。
ご存知だと思いますが最低4~5日は連続運転して、色々な物が吸ってる湿気が無くならないと低い湿度になりません。
目的は出来るだけ冷やさないで除湿する事ですからエアコンの1台を換気専用機にした方が簡単だと思います。
パイプファン等で換気風量分をエアコンに押し込んで冷暖房除湿する、中間期はエアコンを送風にする。
加湿はエアコンの前にエアコン巾x2mx深さ50mm程度の浅いプールを作って有ります、室内に木材を多用して調湿もさせてます。
とても小さな家ですから20日に一度程度一冬4回くらいの給水で済みます、湿度計を見て給水時期(40%強以下)を決めてます。
床下ですから水配管も有ります。
東京の気候で試算しました、かなりの負荷になりました、換気専用エアコンにした方がよさそうです。
除湿エアコンと冷房エアコンは分けた方が制御が楽と思います。
エネルギー効率はデシカが2.5倍くらい良いです。
東京の最高気温38℃、最高露点温度27℃(絶対湿度25.9g/m3)でのエアコン負荷計算。
室内目標湿度 26℃40% エアコン吐出温度10.6℃100% 絶対湿度9.8g/m3
顕熱負荷 (38℃-10.6℃)x空気比熱0.34w/m3x換気空気量200m3/h÷1000=1.86kw/h
潜熱負荷 (25.9g/m3-9.8g/m3)x水蒸気凝縮熱0.68w/m3x換気空気量200m3/h÷1000=2.18kw/h
除湿量 (25.9g/m3-9.8g/m3)x換気空気量200m3/h÷1000=1.96kg/h
エアコン負荷 1.86kw/h+2.18kw/h=4.07kw/h 定格2.8kwのエアコン最大出力4.0kw(消費電力1kw)程度
10.6℃から26℃に戻す顕熱 (26℃-10.6℃)x空気比熱0.34w/m3x換気空気量200m3/h÷1000=1.0kw/h
東京6/20の平均気温20.8℃、平均湿度98% (絶対湿度17.8g/m3)でのエアコン負荷計算。
室内目標湿度 23℃55% エアコン吐出温度13.0℃100% 絶対湿度11.4g/m3
顕熱負荷 (20.8℃-13.0℃)x空気比熱0.34w/m3x換気空気量200m3/h÷1000=0.53kw/h
潜熱負荷 (17.8g/m3-11.4g/m3)x水蒸気凝縮熱0.68w/m3x換気空気量200m3/h÷1000=0.87kw/h
エアコン負荷 0.53kw/h+0.87kw/h=1.4kw/h
13.0℃から23℃に戻す顕熱 (23.0℃-13.0℃)x空気比熱0.34w/m3x換気空気量200m3/h÷1000=0.68kw/h
0.68kwx24時間=16.3kw/日 (内部発熱が16.3kw/日有れば良い)
換気流量一定にして、方法は分かりません(エアコン各社の内部制御?)がエアコン吐出温度を制御出来れば目標湿度に(内部発生の湿気無し)出来るはずです。
エアコン設定温度を例えば16℃、18℃、20℃等に決めてエアコン吐出空気温度が10℃、14℃、17℃に変化して湿度が40、50、60%になるような単純な制御が出来れば理想と思います。
除湿器による換気空気の除湿
除湿能力の大きめの除湿器を購入して換気空気除湿を試した。
購入した除湿器は18L/日(0.75L/h)湿度設定は50%以下まで有る。
常時排水機能有り、外気中の水分量は多い驚くほど除湿するから必須。
除湿器のメリット。
1.除湿器は再熱除湿になる、正確には消費電力分、室内空気温度が上昇する。
2.室温に左右されない、湿度により制御される。
(除湿効率は冷却空気は室内温度で決まるから変動する外気温度にはほとんど左右されない)
3.設定湿度になっても送風は停止しない換気装置として最適(エアコンは送風が止まるのでバイパスが必要)
4.小型で可搬し易いから設置が楽、換気空気のダクト設置が大幅に楽になる。
5.エアコンと比較して風量が少ない風量は一定値で換気装置として最適。
6.設置コストが無用で価格が安い。ドレンは必要。
冷房(エアコン)と除湿(除湿器)が別のため操作が簡単。