エネルギー消費50%削減を目指す住宅設計として「自立循環型住宅への設計ガイドライン」が国から発表されたのが2005年でした。

2010年にはⅤ地域、Ⅵ地域向けの「蒸暑地版」が発表されました。日射遮蔽などの建物外皮の熱遮断技術が補強され、全体的にもより充実した内様になっています。

「蒸暑地版」で弊社が取入れた技術は、長波長反射率を高め、躯体の熱抵抗を向上させる手法です。(長波長とは日射を除く約3μm以上の比較的長い波長の熱放射を意味します)

これは、躯体の通気層内に面する、外装材裏側か躯体表面どちらかに、長波長反射率の高い材料を設置する方法です。

具体的には外壁材の裏側にアルミ箔が裏打ちされている(ガルスパン)を使用したり、アルミ箔が貼られている外張断熱材(Q1ボード)を使用しています。

充填断熱では、通気層の躯体側にある構造用面材の上にタイベックシルバーなどの遮熱、透湿シートを貼っています。

2012年にはⅡ地域、Ⅲ地域向けの「準寒冷地版」が発表されました。太陽熱利用技術に空気集熱式ソーラーシステムが新たに加わり、太陽熱利用技術が補強されました。

弊社では太陽熱利用手法として、開口部からのダイレクトゲインで床蓄熱する手法を取り入れています。住宅全体のエネルギー消費のなかで、暖房エネルギー消費は1/4ぐらいを占めるといわれ、エネルギー消費量削減効果の大きい部分です。

この自立循環型住宅への設計ガイドラインは暖房、冷房、換気、給湯、照明、家電、調理機器、のエネルギー消費量の合計から住宅全体のエネルギー消費量を導き出し、削減効果を推定する設計手法です。

2012年9月、国では省エネ基準の見直しが検討されています。新しい省エネ基準は自立循環型住宅への設計ガイドラインの家電と調理機器を省いた、暖房、冷房、換気、給湯、照明の一次エネルギー消費量が基準となる模様です。

熱損失係数Q値だけの性能評価から、一次エネルギー消費量で省エネ性を表すようになります。これからの消費者が求める省エネルギー住宅の基準値となることと期待しています。