建築技術、2016年1月号に、岩前 篤◎近畿大学建築学部教授が「蓄熱材の省エネ効果」と題し、蓄熱効果はどれほどのものなのかに言及しています。
「一般的に壁体に蓄熱性を持たせることは、パッシブハウスといえども、決定的に効果が期待できることではない」として蓄熱の省エネ性は居住者が実感できるものではなかろうと推測しています。
確かに、蓄熱するためには多くのエネルギーが必要で、必要な時に必要なだけの暖房エネルギーを使うのと熱収支は同じことになるはず。蓄熱を省エネで考察した場合は蓄熱する意味が薄らいできます。
それではなぜ蓄熱床暖房を勧めているのでしょうか。
その前になぜ床暖房なのかですが、床下エアコンも同じですが、室温よりも床や壁の温度が高い方が快適な暖かさだからです。
蓄熱式床暖房は一般のパネル式床暖房と比べ、運転を切った時、床温度の変動幅が小さいことが特徴です。そして熱源にヒートポンプを使用する場合は、深夜電力で運転し、割安な料金で蓄熱して、昼間は通電しなくても暖かく、1日中運転するパネル式床暖房よりもランニングコストは安く上がります。
省エネを考えると、浴槽でも断熱浴槽があるように如何に蓄えた熱を逃さなくするかがポイントです。
基礎上の蓄熱コンクリートの熱が基礎や地中に逃げないように断熱の強化が必須となります。土壌蓄熱させないようにしっかりと断熱する事が重要です。
このあたりを間違えると、ランニングコストが大幅に違ってきます。
床暖房専門業者で蓄熱式床暖房を扱っている業者もいるようですが、建物の断熱性能と一体となって、快適で省エネな蓄熱式床暖房が生まれます。