先週、OMソーラーの導入を検討されていているお客様が弊社の体験ハウスを訪れてきました。地球環境に優しいソーラーハウスが再び注目されているようです。
OMソーラーや北信商建が取入れているのが、「空気集熱+床下蓄熱」です。屋根の集熱パネルで暖められた空気を床下へ送り込み基礎コンクリートに蓄熱します。OMソーラーではその床下の空気をさらに室内に入れ暖めるわけですが、建築基準法では床下の土台を防蟻防腐処理しなければならず、室内空気汚染の心配が残ります。
又24時間計画喚気を考えると、冬期の給気は床からで良いとして、夏期の給気は別に設けなければならず、OMソーラーと高断熱・高気密住宅を組み合せると複雑な構造になってきます。
北信商建のFBS工法はそれらの問題をクリアするために床下の空気を壁の中へ送り込み、壁の中をエアサイクルさせています。そして24時間計画換気は別系統で行っています。
壁体内結露や排熱の目的から壁と屋根面には断熱材の外側に通気層を設けますが、それを上手く利用して集熱しているのがエアサイクル産業のPAC工法です。集熱パネルを必要とせずよりシンプルに太陽熱を利用しています。
OMソーラーやエアサイクル産業は空気で熱移動を行っていますが、ハイブリットソーラーハウス協会は水(不凍液)を媒体にして熱移動を行い、その熱を土間床に蓄熱しています。土間床にダイレクトゲインも可能なのでハイブリッドと呼ばれているようです。
ハリマハウスが取入れているデザインは「ダイレクトゲイン」と呼ばれています。窓や天窓から入る太陽熱を床や壁に当てて蓄熱する方法です。冬期で日の当たっている南面の掃き出し窓近くの床面は35℃位まで上昇します。
集熱パネルとエアサイクルさせるダクトやインナーサーキットが不要で、屋根形状も自由にデザインができ、高断熱・高気密住宅との相性も良いのですが、木製床がじゃまをして基礎コンクリートに蓄熱できない事が大きな欠点でした。
そこでハリマハウスでは土間床基礎、あるいは木製床にコンクリートやタイルで蓄熱層を設け蓄熱するようにしています。

いずれにしても自然エネルギーで快適なパッシブソーラーハウスを機能させるには、躯体の性能(Q値とC値μ値)を高める事が重要になってきます。
具体的に断熱性能では、次世代省エネルギー基準の「設計および施工の指針」にある断熱材の熱抵抗値の基準値が、経験的に見て妥当な数字になっています。ポリスチレンフォーム3種外張り断熱で、屋根112ミリ厚、壁48ミリ厚以上が必要です。
気密性能(C値)では内外温度差が20℃以上になる冬期や風の強い日の熱損失を考えると、0.5c㎡/㎡以下が妥当です。そして開口部は樹脂サッシか木製サッシでLOW-Eガラスにします。
そして補助暖冷房もエアコンを使用せず、あくまでも蓄熱層からの放射熱で暖かく涼しくする事が快適で合理的でしょう。
体験ハウスの一階の室内温度は21℃前後で床面温度は26℃を保っています。OMソーラーの導入を検討されていているお客様は、ゆっくりと私の説明を聞いていましたが「熱くなく、寒くなく丁度よい温度ですね」と笑顔で帰られました。