湿度の高い日本の夏ではエアコンなくして涼しい家は創れないのだろうか。11年前に東京都府中市でハリマハウスの高断熱・高気密住宅を建てたI様邸の奥様に「ハリマハウスさんの家は冬暖いが、夏の涼しさは隣に建っている実家の家にはかなわない」と案内して頂いた事がある。
約250年前に建築された庄屋住宅だそうだ。小作人が作物を持ってくる広場に面して離れ家があり蔵へと連なり母屋がある。母屋の中に入ると土間がありひんやりとしている。座敷では開いている大きな窓から風が通り抜けやはり涼しい。外気が入っているのだがムシムシした感じはしない。「いやー、広い家だから涼しいのだろう」と自分で無理やり納得させてしまう。
その時に気付いていればと思うのだが、その後も益々断熱材を厚くして隙間相当面積C値では0.09㎝2/m2を出すようになっていた。夏の体験ハウスでは窓を閉め屋根裏の2.8kのエアコンを一台運転すると湿度が40%台に下がり涼しくはなる。しかしこれ以上断熱・気密を高めてもエアコン無くしては涼しくはならない。と思い始めていた頃、「町に森をつくって住む」の著者甲斐哲郎氏のセミナーに参加した。
体感温度実験により理論が実感できるセミナーだ。洗濯物が早く乾くには湿度が低いか風がある状態だが、それと同じ状態が汗も早く乾き涼しく感じられるという。目からウロコの連続で大きく影響を受ける。早速体験ハウスを緑のカーテンやロールスクリーンで日射遮蔽して、もともと蓄熱容量の大きい室内に夏の日射を入れないようにした。
エアコンを止めそして窓を開けた。一階から二階そして屋根裏の天窓まで風の抜けやすい窓を試しながら開け風が流れた。湿度は上がるし汗もでる。しかし11年前に体験したあの涼しさの感覚が蘇る。
以下次回