設計中の「二子玉川の家」を熱計算ソフトQPEX3.21で計算してみました。
harima-O仕様、延べ床面積144.08㎡、熱損失係数Q値は1.108W/㎡kでしたが年間暖房負荷は0となりました。
冬期、日射熱と室内の照明や調理、体温などの自然発生熱だけで室温が20℃を下回らない断熱性能と気密性能があることになります。いわゆる無断房住宅です。
Q値が0.8W/㎡k程度でも年間暖房負荷は0にならないケースが多いですが、なぜ「二子玉川の家」が無断房住宅になったのでしょうか。
まず地域区分が6地域で、本州では一番の温暖地域であることが挙げられます。同じ仕様でも4地域では、少しですが147kwhの暖房負荷が発生しました。
次に建物の形が東西に細長く(東西に13.195m、南北に5.460m)、南面が広い総二階の形状で、日射熱を取り込む南面に窓を多く配置でき、南側の建物が10m以上離れ日射障害が無い。
南面の窓は2400×2019が3組、1690×1800が4組、合計26.7㎡で日射取得に有効なガラス率は0.8として21.36㎡もの日射取得窓ガラス面積があり、そのガラスすべてに日射侵入率の良い、サンバランスピュアクリアE AR16㎜ を使用したことから日射取得熱が増え無断房住宅となったわけです。
夏期の日射遮蔽は必須ですが、まさに省エネルギー住宅となりました。
自立循環型住宅の設計ガイドラインでは、南面開口率20%以上でレベルが上がりますが、このような条件の良い建物でも南面の日射取得窓ガラス率は14.8%/床面積です。耐震性を考慮すると南面開口率15%以上は難しい数字といえるでしょう。