まず24時間換気設備の運転にかかるエネルギー消費量を、ダクト式第三種換気と熱交換第一種換気で比較してみます。

住宅事業主基準では床面積120㎡の木造二階建、DCモーター採用のダクト式第三種換気は0.144W/(㎡/h)、DCモーター採用の熱交換第一種換気で0.319W/(㎡/h)となり、それぞれの年間一次エネルギー消費量は1.96GJ、および4.36GJと示されています。

熱交換第一種換気は、おおよそ2.2倍の運転エネルギーを使用しています。上記の値で延床面積120㎡の使用電気料金を計算すると、ダクト式第三種換気の一か月の使用電気料金は298円、熱交換第一種換気で661円かかることになります。

この換気にかかる一次エネルギー消費量と、暖冷房一次エネルギー消費量を加算した結果が下図に示されています。「建築技術201401」
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図6、図7では首都圏の5地域と6地域では、熱交換換気を使用した場合は、冷房時は効果無く、暖房時に多少のエネルギー消費削減効果があるという結果になっています。鹿児島や沖縄の7、8地域では熱交換換気の省エネ効果はありません。

表4の全館冷暖房の場合は熱交換換気の効果はあるようです。表5の居室間歇冷暖房では5地域と6地域では熱交換換気の効果はありません。

北海道や東北のより寒い地域で、断熱仕様がH11(次世代省エネ基準)を超える高断熱仕様の住宅に、より多くのエネルギー消費削減効果があるという結果になっています。

そう考えると首都圏の5地域と6地域でもQ値1.3以上の高断熱住宅になってくると、暖房時のエネルギー消費削減効果は期待できると推測してもよさそうです。