太陽熱を集め有効に活用するために蓄熱は欠かせない。蓄熱体は体積より面積を重視する。蓄熱部位の厚さは必要以上にあっても蓄熱効果はあまり変わらない。広い面積に薄く熱を蓄える設計が有効だ。
日中は太陽熱を吸収して部屋のオーバーヒートを防ぎ、夜間は熱を放出して室温の低下を防ぐ。取得熱の損失を抑える躯体の断熱・気密性能と蓄熱体により室内温度が安定する。

オレンジ色 室外湿度
黄色    室内湿度
赤色    室内温度
青色    室外温度
夏期では放射冷却による夜間の冷気を蓄冷して、日中の冷却効果をもたらす。
そして太陽熱取得の多寡に合せヒートポンプ冷温水器を深夜電力で稼動させ夜間蓄熱(夏季は蓄冷)する。
 省エネルギー効果の他、快適性でも有効だ。
下記の人体エクセルギー消費線図でも明らかなように、室温18℃で周壁温度が25℃の時がエクセルギー消費が少なくストレスが少ない状態である。室温より高い温度の周壁蓄熱体からの放射熱で温かい床暖房が、対流式暖房より快適だと言われてきたのがこれでよく解る。
夏期はこの逆で、室温より周壁温度が蓄冷により低くなると涼しく快適だ。ハリマハウスでは風が抜ける仕組みを組合せ、より自然な涼房空間を生みだしている。
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 宿谷昌則著 「地球環境建築をめざして」より抜粋