「技能士」
公開日:
:
最終更新日:2016/02/13
工事記(こじき)
こんにちは。
ハリマハウス 伊本です。
私は 2009年3月まで、20数年タイル張り職人でした。
前回の 「下地製作」 に続き、
今回は「タイル張り」について、記します。
下地を平滑に仕上げてあるので、
縦・横目地の通りに注意し、ただひたすらタイルを「貼る」のみです。
基準墨をあらかじめ下地に映し、その基準墨に合わせれば誰にでも貼れます。
ところが、下地がデコボコな状態だと、
「縦・横目地」 + 「面の通り」となり、3次元の面倒を見なくてはなりません。
タイル貼りにプラス、接着剤を塗ったり、タイルの加工(切断等)があったり・・
面の通りなど後回しになります。
誰が貼っても「デコボコ」になるでしょう。
下地製作の段階で苦労をしておくと、タイル貼り段階で「動作」をひとつ省く事が出来ます。
「貼り」段階で、余裕が生まれます。
モルタルで下地を平らに作製するのは、かなり難儀です。
逃げ出したくなるほどです。
「ま、いっか タイル貼る時に平らにすれば・・」
モルタル下地と格闘中には、そんな誘惑がチラチラします。
苦労を先送りにしてしまう誘惑です。
毎回、負けそうになります。
「貼り」段階にはそれなりの苦労があります。
写真の様に、同一シリーズのタイルでも、
突起ありタイルは若干小さいサイズです。
並べてみると、目地の通りはデコボコになります。
サイズ違いを嘆くのは、職人ではありません。
仕上がりでそれをフォローするのが職人です。
私は、hip-hopダンスを踊っていました。
いくら振り付けを完全に覚え踊れたとしても、
そこには越える事の出来ない「壁」があります。
13年間でほんの数回。
その「壁」を越えた事がありました。
曲調が早くても、自分の動作がそれを上回り、さらに余裕が生まれます。
「踊らされている」のではなく、「踊っている」のです。
見ている仲間は喝采です。
残念ながら、Danceの世界では意図的にその次元に達する事は出来ません・・
しかし、タイルの世界ではその域に達せます。
苦労の分配。
苦労の分割払い方がわかります。
「タイル貼り」と「タイル張り」
「タイル張り技能士」と名乗っています・・
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